「それはもう渡ってしまったほうが良い」
見かけるたびに笑ってしまう。
はみ出る自転車
前輪がはみ出た自転車。もうすでに後輪まではみ出た自転車。はみ出たとかそういうことを超越して、もう道の真ん中で止まっている自転車。
もう道の真ん中まで行ってしまうのであれば、それはもう渡ってしまったほうが良い。
流石に大きな通りで真ん中まで行ってしまった自転車を見たことはないが、細い道ではよく見かける。
その細い道であれば、もう真ん中まで行かずとも、後輪まで出てしまったら、いや、前輪が出てしまった時点でもう渡ってしまったほうがいいんじゃないか。
ちなみに、はみ出てしまう自転車は、女性より男性の方が多く、若者よりも年寄りのほうが多い。つまり、おじいさんがよく道の真ん中まではみ出てしまっているんだ。
おじいさんだからイメージとしては、全国統一した勢いのまま、朝鮮出兵してしまった豊臣秀吉のように、街をさっそうと走り抜けた勢いを殺しきれず、車道にはみ出してしまう感じだろうか。
「俺の進行は信号なんかじゃ止められないぜ」
「俺は進みたいんだ。車の邪魔になろうが知らないぜ」
「俺ははみ出しちゃうタイプなんだぜ」
みたいなことを勝手にアフレコしてみるとしっくりくる。
本当は、はみ出ないほうが良いものだが、仮に世の中からはみ出た自転車がなくなってしまったら、楽しみが一つ減るのかと思うと寂しくもある。
いや、それだけならいいが、そっちが引っ込んだ分、あっちがにょきっとはみ出すなんてことがあるんじゃないか。たまに、コンビニにおばあさんが運転する車が駐車場をはみ出してつっこんでることもあるが、それが増えてもたまらない。
そうなると、朝鮮出兵の勢いが自転車の前輪がはみ出るくらいで収まっていることを感謝しなければならないのかもしれない。
はみ出る自転車たちにはこのままでいてもらおう。
ただ、はみ出る自転車について一つだけお願いがある。
もし、僕がはみ出る自転車になってしまったら、君のはみ出た自動車で跳ね飛ばしてくれ。
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